【専門医解説】あなたの便秘がよくならない、100%納得の理由

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こんにちは!医師で、スッキリ研究室長の「ゆん」です。
この記事は、以下のような人に向けて作成しました。

  • 自己流の便秘解消法が正しいのか知りたい人
  • 迷い道をせず、便秘を改善したい人
  • 薬に頼らずに便秘を治療したい人

この記事で次のことがわかります。

  • あなたの便秘治療が根本から間違っているかもしれない理由
  • 自分の便秘のタイプ
  • 薬に頼らない便秘解消法

この記事であなたの便秘の価値観は180度変わります。

なぜなら、一般的な便秘には3つのタイプがあり、それぞれ治療法が異なるからです。
特に「便秘型過敏性腸症候群」という病気によって引き起こされる便秘は、通常の便秘解消法が当てはまりません。
むしろ、逆に症状を悪化させている可能性すらあります。
外来の患者さんにも本文のようなお話しができれば良いのですが、診療時間的に厳しいのが実情です…。
この記事を読んでもらう方が早い、と思っている今日この頃です。
担当の患者さんにも胸を張ってお勧めできる。
そんな非常に濃い内容となっています!

便秘に惑わされず、人生もっともっと楽しんでくださいね!

目次

ダメ、絶対!便秘の放置

最初になぜ便秘の放置してはいけないのか、簡単に解説します。

え…便秘ってそんなアブナイなの?

放置は絶対にやめた方がいいですよ!

便秘って実は結構怖い病気なのです。複数の論文から抽出した内容をまとめると…

便秘の人は1.2倍早死し、約4%重い心臓の病気になりやすく、1.9倍脳の血管の病気になりやすい。
おまけに仕事のパフォーマンスも悪い。

詳しく知りたい方はこちら

便秘の放置は「百害あって一利なし」です。

便秘型過敏性腸症候群とは


あなたの便秘が、便秘型過敏性腸症候群に当てはまるのか、読み進めて判断しましょう。

べんぴがたかびんせいちょうしょうこうぐん?長い…!

確かに長い名前ですね笑 
ただ、わかってしまえば「そんなものか」と思えるはずです。

3タイプの「いわゆる便秘症」

冒頭で、通常の便秘には3つのタイプがあるとお話ししました。
ここでは簡単にあなたの便秘はどのタイプなのか、判断してみましょう。
(しっかりと自分の便秘のタイプを見極めたい!という方はこちらをご覧ください)

以下の図に従ってあなたの便秘のタイプを振り分けします。

(注)便秘は本来完全に分類できるものではなく、オーバーラップする場合もあります。あくまで傾向、と考えてください。

質問2つに答えるだけで、あなたの便秘のタイプがわかります。

質問① 週1回以上腹痛がある

YES→タイプ3の便秘型過敏性腸症候群

質問② 便が出ない日が続くと便意を感じやすい

YES→タイプ1の排便回数減少型
NO→タイプ2の排便困難型

質問①で週1回以上腹痛がある方、便秘型過敏性腸症候群の可能性が高いです。

週に1回もお腹が痛くなることはないけど、頻繁にお腹が張ってしまって苦しい、という人や、便秘が多いけど時々下痢もする、といった人もこの病気の可能性があります。
今回紹介する便秘の3タイプはいずれもオーバーラップすることがあるので、完全な分類は難しいのが実情です。
「可能性がある」と思った方は「自分は便秘型過敏性腸症候群かもしれない」と考えて、これからお話しする内容を一度実践してみて下さい。
効果がなければ、タイプ1、タイプ2のどちらかであると考えて良いでしょう。

それぞれの便秘のタイプについても簡単に解説しておきます。
(時間のない方は自分のタイプだけも目を通して下さい)

タイプ1 排便回数減少型

  • ・便が出ない日が続くと便意を感じやすい
  • ・便の回数減少(週3回未満)

このタイプの人は大腸にたくさんの便が溜まるため、お腹の張りが出てしまいます。
大腸に長い時間便が溜まっているため、便の中の水分が吸収され尽くしてしまい、便が固くなり、便を出しにくい状況にもなります。
主な原因としては、大腸の動きが悪くなることが挙げられます。

タイプ2 排便困難型

  • ・便が出ない日が続いても便意をあまり感じない
  • ・排便に時間がかかり、いきむ

このタイプの人は大腸にある便をしっかり、かつ素早く出せません。
主な原因としては、大腸のセンサーの働きが低下していることが挙げられます。
大腸に便が溜まっても便意を感じられず、そのまま便が残ってしまうのです。

タイプ3 便秘型過敏性腸症候群

後述します。

これであなたの便秘のタイプが特定できました。

ここからは「タイプ3便秘型過敏性腸症候群」の方に向けて解説をしていきます。
私は別にこのタイプじゃなかったからもういいや、と思った方も、それぞれのタイプに向けて、具体的な便秘のセルフケアについてまとめてありますので是非参考にして下さい。

↓↓↓↓↓

便秘型過敏生腸症候群(タイプ3)はこんな病気

先ほどの質問①で「週1回以上、腹痛がある」と答えた方は、根本的に便秘の治療法を見直す必要があります。
なぜなら、便秘型過敏性腸症候群で便秘になっている人は、通常、便秘に対しては良いとされている行為が通用しないからです。
むしろ悪化の原因となっている可能性すらあります。
このタイプの人は硬い便であることが多いですが、時々軟便・下痢もあります(頻度は人によって様々)。
20-40歳代の女性で多く、ストレスがかかると症状が悪化します。
まだ完全には解明されていませんが、腸の神経と筋肉の間のコミュニケーションがうまく機能していないことが原因であると考えられています。

便秘型過敏性腸症候群(タイプ3)と食事

先ほど、このタイプの便秘の人は「通常、便秘に対しては良いとされている行為が通用しない」というお話をしました。

驚くかもしれませんが…

ヨーグルト、ハチミツ、納豆など… 一般的に便秘に良いとされている食品。
この食品があなたの便秘を悪化させている原因かもしれません。

えー!
便秘なら、まずはヨーグルト試してみて!っていうじゃない??

ヨーグルトなどの乳製品は、便秘型過敏性腸症候群の人には向かないです。

話を進めるために、まずは専門用語ついて解説します。キーワードはFODMAP(フォドマップ)
何やら難しい横文字が出てきてしまいましたが、FODMAPなしに、この病気ついては語ることができません。
理解できればそんなに難しくないですし、丁寧に説明しますので頑張ってついてきて下さいね。

FODMAPとは?

FODMAP(フォドマップ)とは、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい糖質の総称で、以下の頭文字を合わせた言葉です。
発酵性の(Fermentable)、オリゴ糖(Oligosaccharides)、二糖類(Disaccharides)、単糖類(monosaccharide)、AND、糖アルコール(Polyols)。

田辺三菱製薬ホームページより引用(https://hc.mt-pharma.co.jp/site_cerekinon/self-medication/dietary-cure/article/about-fodmap.html)

ここでは1つだけ覚えていただければ大丈夫です。
「FODMAPを多く含んだ食品は、腸内ガスの原因となる」ということです。
FODMAPを摂取すると多量のガスが腸内でつくられます。つくられたガスが腸にたまると、腸が膨れて、圧が高まります。
通常は少しの圧がかかったぐらいで腸はびくともしません。
しかし、便秘型過敏性腸症候群の人は「腸が圧に弱い」ので、本来問題ないはずの腸の膨らみでも、痛みや張りを感じてしまうのです。
便秘型過敏性腸症候群の人はストレスで便秘を悪化させやすいため、この痛みや張りそのものが強いストレスとなり、便秘の悪化につながっていると考えられています。
便秘型腸症候群の人は、「FODMAPを多く含んだ食事(高FODMAP食)」をできるだけ食べないようにしましょう。

FODMAPのことを知らないと、陥りがちな、こんな負のループが生じてしまいます。

① 便秘で苦しんでいる
② 頑張って、便秘に良いものとされる食品(実は高FODMAP)を食べる
③ 腹痛やお腹の強い張りが生じる
① ストレスでますます便秘になる

この記事を読んでくださったあなたは、この負のループから脱却できますね。

次に、オススメできる食事について解説します。
効果のある量や種類は個人差がありますので、まずは試してみて下さい。

オススメできる食品

どんなタイプの便秘の人にもお勧めできる、食事に取り入れやすい、万能な食品はこちら。

米、じゃがいも、こんにゃく、キウイフルーツ

・米(白米)
便秘解消にお米と聞くと、意外に思われる方が多いですよね。
しかも玄米・雑穀米である必要はありません。
玄米や雑穀米は、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が多く含まれていて良いのですが、排便回数減少型(タイプ1)の便秘の人には不向きなので、ここではあえて白米、とさせていただきました。
米は低FODMAPであり、消化も良いので全ての便秘のタイプの人におすすめできます。
冷めたご飯が良い、とされている場合がありますが、これには注意が必要です。
排便回数減少型(タイプ1)の人にとっては効果的なのですが、便秘型過敏性腸症候群(タイプ3)の人にとっては逆効果となる可能性があり、おすすめしません。
是非、温かいうちにご飯を食べて下さい。

・じゃがいも
じゃがいもは、食物繊維が豊富な食材のひとつです。この特徴をもつ食材は、そこまで珍しくありません。しかし、じゃがいもに含まれる食物繊維の一部は、水溶性食物繊維といって、少し珍しい種類です。水溶性食物繊維はどのタイプの便秘症の人にもお勧めできることから、ピックアップさせていただきました。もちろん低FODMAPです。ただし、食べ過ぎると便秘悪化のリスクになりますので、適量としましょう。

・こんにゃく
こんにゃくも万能な食品の一つです。水溶性食物繊維が多く、低FODMAPです。しかも米やじゃがいもと違って低カロリー。ダイエット中の便秘の人にとっては嬉しい食品です。

・キウイフルーツ(グリーン)
果物で取り上げるとすると、グリーンキウイが最強と思います(成分的に便秘に良いのはグリーン>ゴールド)。
値段は少し張りますが、季節性があまりなく、どの時期でもスーパーで手に入ります(夏はニュージランド産が多く、比較的安い)。
半分に切ればスプーンで食べられる手軽さも魅力です。
低FODMAPです。
キウイフルーツを毎日2個摂取すると便秘がすごく良くなった、という研究結果*もあります。
*Rush, E.C., Patel, M., Plank, L.D., et al.: Kiwifruit promotes laxation in the elderly, Asia Pac. J. Clin. Nutr., 11, 164-168 (2002)


そのほかにも低FODMAP食品は数多く存在するのですが、まずは万能な、誰にでもお勧めできる「米、じゃがいも、こんにゃく、キウイフルーツ」から始めて下さい。

最後に避けるべき高FODMAP食品について解説します。

避けるべき食品(高FODMAP食)

代表的なものが以下の食品です。

  • 小麦(パン、パスタ、ラーメン、うどん、ピザ、お好み焼き、ケーキなどの小麦使用の菓子類)
  • とうもろこし
  • 豆類(納豆、豆乳 絹ごし豆腐) *もめん豆腐は低FODMAPに分類される
  • ネギ類(ネギ、玉ねぎ、にんにく)
  • さつまいも
  • 多くの乳製品(牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム)
  • フルーツ(りんご、スイカ、もも、なし、グレープフルーツなど)
  • はちみつ
  • オリゴ糖
  • 甘味料(キシリトール、ソルビトール)

最も気をつけたいのは、通常便秘には良い、とされている以下の食品です。

  • 納豆
  • さつまいも
  • 牛乳
  • ヨーグルト
  • りんご
  • はちみつ
  • オリゴ糖

また、食品に多く含まれる小麦にも注意して下さい。まずはこれらの食品を意識的に排除してみましょう。

患者さんから、先生はできるだけ食べるなっていうけど、パン、ラーメン、うどんが食べられないのは本当に辛い!と嘆き節を聞かせていただいています。
主食となるものを制限されるのは辛いですよね。そこで、発想を変えます。

豆類を抜いた、和食(白米)中心の食事にしてみる。

これだけでも小麦の摂取量を大幅に減らすことができます。
どうしても麺類を食べたいのであれば、低FODMAPのフォーやビーフンなどを検討して下さい。

まとめ

今回は便秘型過敏性腸症候群の人のタイプ分類、病気の特徴、対策(食事)についてまとめました。
参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
もう、便秘で悩まない。
これからもスッキリ研究室をよろしくお願いいたします。
それでは良いスッキリライフを!

注:本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の病状や症状、治療法に関する具体的な助言を提供するものではありません。具体的な医療的な質問や病状に関しては、必ず専門の医療従事者に相談してください。

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